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会社法

~会社法~会社の終わらし方

コロナウイルスによる経済活動の自粛により、失業や倒産、廃業のニュースを耳にすることが多くなってきた。

簿記論や財務諸表論そして所得税・法人税で貸倒れの話題がある。

貸倒れは、売掛金などの金銭債権が回収不能になった状態だけど、その理由として相手方企業の再生計画認可の決定とか特別清算に係る協定の認可の決定なんてフレーズが登場する。

税理士試験においては、その詳しい内容まで問われることはないからスルーしてしまうが、今回は簡単ながら会社の終わりについてまとめてみたい。

                

・ 会社の終わり方

会社は、設立で始まって解散で終わる

会社法における会社の終わりとは、「解散を経て清算すること」を意味する。

解散・・株式会社の法人格が消滅すること

清算・・解散に伴う法律関係の後始末の手続き

会社の解散理由として以下の6つが挙げられる。

⓵ 定款で定めた会社の存続期間の終了

⓶ 定款で定めた会社の解散事由の発生

⓷ 株主総会の決議

⓸ 合併などによる会社の消滅

⓹ 破産手続き開始の決定

⓺ 解散を命じる裁判

            

会社が債務超過に陥っていない「健全な状態」ならば、株主総会の特別決議で「解散決議」等を行い、清算手続で債務を完済し株主に残余財産を分配したあと、法人格が消滅する。

                

しかし以下に示すような状態だと、会社は倒産状態にあるといえる。

・会社が債務超過により事業継続が困難な状態に陥っているとき。

6ヶ月以内不渡手形を2度出して銀行取引が停止したとき。

・経営者が夜逃げして蒸発してしまったとき。

・裁判所が破産手続を開始したとき

会社が倒産したとき、経営者は、そのまま事業を止めてしまうか再生させるかの選択をしないといけない。

             

・倒産したときの選択肢

会社が倒産したら、清算再生を選択しないといけない。

清算の場合は、「破産」か「特別清算」と2つの方法がある。

「破産」・・債務者(会社)がその債務を完済することができない状態のとき、債権者に残った財産を公平に配分するための手続き。

「特別清算」・・健全な状態で会社をたたむ清算(通常清算)と異なり、裁判所が関係する。裁判所が清算を監督するのである。要するに普通に清算できないから裁判所の助けを得て行うのである。

                       

再生は事業を継続させるための方法である。

会社を解散せずに立て直すのである。 

具体的には次の3つの方法がある。

* 民事再生 

* 会社更生  

* 私的整理

それぞれ観てみよう。

| 民事再生 |

民事再生とは簡単に言うと、経営破綻時の経営者にもう一度チャンスを与える制度なのである。

会社の本店所在地の地方裁判所に民事再生の申し立てをし、債権者への債務返済計画をまとめた「再生計画案」を裁判所に提出する。

この「計画案」が債権者たちの多数決で承認されて、初めて再生手続が進められる。

「計画案」が承認された後、裁判所の再生計画認可の決定がされて、再生計画が遂行されるのだ。

民事再生を適用した有名企業を挙げると・・

2000年 そごう

2001年 青木建設

    洋菓子のヒロタ

2015年 スカイマーク

2020年 レナウン!

| 会社更生 |

こちらは民事再生と異なり、全経営権が強力な管財人に移り、債権者や株主に遠慮することなく会社を再建していく。

管財人は裁判所に任命されるが、裁判所がバックアップしてくれているということである。

さらに担保権の実行が禁止され、例えば自社所有のビルも債権者が債務を取り戻すために勝手に競売にかけることはできなくなっている。

こちらも本店所在地の地方裁判所に会社更生の申し立てをし、会社財産の保全命令が出て保全管財人が選任される。

債権者の会社に対する債権を調査し確定した後、新しい経営計画や債務の返済方法など定めた「再生計画案」を提出する。

約1年かかってしまうが、裁判所の更生計画認可の決定により、更生計画が遂行されるのである。

会社更生の手続は、再建に協力してくれるスポンサーを得るとスムーズにいくようである。

会社更生を適用した有名企業は・・

1990年代 ヤオハンジャパン

      日本国土開発

2000年代 宝幸水産

     ハウステンボス

2010年代 日本航空

      武富士

| 私的整理 |

裁判所をとおして法律上の手続で倒産の処理することを、「法的整理」という。

これに対して裁判所をとおさないで行うことを「私的整理」という。

経営破綻しそうなとき、経営者と債権者が負債について話し合い、清算や再建に向けて進んでいくのである。

債権者とは個別に協議するのが基本である。

迅速な解決が期待できること、会社の悪い面が公にならないなどのメリットがあるが、債権者によっては不平等に扱われる可能性がある。

                

勝った日露戦争と負けた太平洋戦争の最大の違いは、当時の上層部がどうやって戦争を終結させるか考えていたことだと本で読んだことがある。

終わらせ方をどうするか考えるのは重要な戦略なのかもね。

    

            

作成者: advance

豊洲市場の水産荷受会社(セリ販売する会社)に勤務してます。
勤務時間が夜中から昼までです。
夜の活動は自粛?して、午後の早い時間帯に勉強に励み、税理士試験に合格しました。

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