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相続税

相続税法(その1)相続税との出会い

私が税理士試験に官報合格できたのは、けっこう最近のことで、平成29年の67回でのことである。

合格科目は、簿・財・所・消・住の5科目だ。

法人税法や相続税法を勉強するという選択は無いわけではなかったが、税法科目受験は想像以上にタフで、住民税で妥協してしまった(汗)

法人税は、試験合格後に大学の先生の書いた本をけっこう読んだので、だいたいの概要は理解できているつもりである。

ところで相続税法の方は、全体をまとめた本というのが少ないようだ。

相続税の受験参考書は多くあるのだが、分かりやすいけど、読み物としてはあんまり面白くないと感じる。

そういったわけで、今回より、この相続税の全体像を簡潔に、かつ、可能な限り面白くまとめていく挑戦をしたいと思う。

                         

渡部昇一氏の相続税に対する見解

私が相続税のことを初めて知ったのは、実は、歴史学者の故渡部昇一さんの本を読んだときである。

私は歴史の本を読むのが好きで、20代の頃、渡部さんを筆頭にいろんな人の本を読んだものだった。(他に小室直樹さんなど)

著書の中で、渡部さんは相続税について酷評していた。(というか日本の税制そのものについても)

相続税の存在が先祖代々引き継がれた遺産(家屋敷など)の継承を困難にして、その結果として文化の継承を妨げることになるとのことである。

伝統芸能や大金持ちが援助しなければ存在できない文化、家庭や地域共同体の中で継承されてきた文化、これらを破壊してしまうのが相続税なのだと主張している。

具体例として、高級料亭は戦後の和室文化を継承してきているが、赤坂にあった高級料亭が相続税対策で仕方なく店を売ってしまい、その跡地に韓国系のクラブやバーが進出してきた。

税金により日本文化は潰されたのであると主張している。

なんとなく理解できる考え方ではある。

私の相続税との出会いは非常にネガティブなものであった。

                          

税理士試験受験時代の相続税法に対する印象

税理士試験は科目合格制の試験で、5科目合格すれば税理士試験合格とされる。

まずは、必修科目である簿記論財務諸表論は必ず合格しないといけない。

そして選択必修科目である法人税法または所得税法のどちらかは必ず合格しないといけない。(両方受験&合格も可)

残りは選択科目で、相続税法国税徴収法固定資産税消費税法酒税法事業税住民税のなかから自由に選択・学習できる。(ただし消費税法と酒税法、事業税と住民税の二組は両方合格できてもカウントされない)

この中から5科目合格すればよいのである。

選択必修である2科目はテキストと問題集の量がとても多い。

選択科目の方はそこまで量は多くはないのだが、唯一、相続税法だけは選択必修の2課目に匹敵する量だった。

単に税理士試験合格を目指すだけなら敬遠したい科目、それが相続税法というのが受験時代の印象である。(実際に敬遠した)

ただ、相続の仕事をしたいと希望する受験生は、勇敢に相続税法にチャレンジしていくようである。

相続税法は敬遠しました!

                          

私の相続税に対する私見

私はいい年齢のオジサンなのだが、両親ともに健在で、特に介護が必要ということもなく健康に暮らしているようである。

しかし永遠の命というものは存在しないわけで、いつかは天国に旅立つ日がくるだろう。

そのときに私自身が相続の当事者になるわけで、比較的近い将来に関わるものであると考えている。

父親は某大企業のサラリーマンをずっと続けてきたが、仕事している間はずっと所得税&住民税を納税してきたわけだ。(源泉徴収&特別徴収)

仮に私が父から預金と家を相続する場合、それは相続税の課税の対象となってくる。

私が相続することになる預金と家は、父が会社で働いて得た月給から税金を差し引いた手取りによって手に入れたものだ。

いわば課税された後の預金であり家なのである。

その課税後の資産の移転がおきるとき、相続税が課せられるというのは、一種の二重課税の印象をもってしまうのは私だけではないはずだ。

先ほどの渡部さんは文化的見地より相続税は廃止すべきと主張しているが、私は二重課税の観点から相続税は問題があると感じた。

この相続税は配当金課税とよく似ている。

配当金は企業が利益を出して、その利益に法人税が課税された後の資金から出されるわけだが、この配当金を受け取ると企業にしても個人にしても所得税が課税されてしまう。

もっとも企業には受取配当金の益金不算入、個人には配当控除という課税を緩和するルールがあるが、完全な非課税とはなっていない。

                         

後記

渡部昇一さんの本は、穏やかな文章に本人の祖国日本に対する熱い想いが垣間見える素晴らしいものである。

著書のなかで、素人の言ってることもバカにしてはいけないし、自分が素人だからといって専門家の意見を恐れる必要もないと言っている。

その渡部さんは自ら税法の素人と称して書いた税金の本が、私はとても好きだ。(当然歴史の本も好きだ)

作成者: advance

豊洲市場の水産荷受会社(セリ販売する会社)に勤務してます。
勤務時間が夜中から昼までです。
夜の活動は自粛?して、午後の早い時間帯に勉強に励み、税理士試験に合格しました。

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