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会社法

~会社法~持分会社

私は築地改め豊洲市場の水産荷受会社で働いている。

日本及び世界各地から送られてきたサカナを、市場内でセリ販売や相対売りで仲卸業者や量販店、スーパーに販売する仕事である。

市場にサカナを送る業者は、商社・水産加工会社・漁業協同組合・個人の水産業者など多種多様である。

このように市場にサカナを出荷する業者を、卸売市場業界では荷主(にぬし)という。

荷主には、株式会社・有限会社・協同組合・個人事業者などいろんな形態があるが、私が担当したなかには合資会社なんてのもあった。

そこは宮城県の冷凍カレイの切り身や縁側の加工会社であった。

合資会社とは、会社法という法律が会社の類型を株式会社持分会社に分けているが、その後者の持分会社の1つである。

今回は普段はあまりなじみのない持分会社についてみてみよう。

                

株式会社は大勢の人から多くの資金を集めるのに適した仕組みであるが、持分会社は少数の仲間どうしでお金を出し合って商売を始めたい場合に適した仕組みといえる。

その商売にお金を出した者=出資者の権利持分といい、持分を持つ人社員という。

社員というと違和感があるが、ここでは働く従業員のことではなく出資者のことだ。

持分会社は、出資者どうしの個人的な信頼関係に基づいて商売を始める面があり、出資者=社員は自ら会社経営を行うこととなる。出資=経営という構造になっているのだ!

創業メンバーの1人が関係ない人に自分の持分を譲ろうとするときは、他のメンバーの同意が必要となっている。

私の感覚だと、こういうのは中国の古典「水滸伝」の梁山泊に似ている。

梁山泊では不思議な縁で集まった豪傑たちが、自分の技量や個性を活かして梁山泊の運営・発展に貢献している。そして結束も強固だ。

持分会社でも、集まった者がお金を出し合い、それぞれの技量や個性を活かして商売していくわけだ。そして結束が固く、そこに容易に他人は入り込めない、っといったとこか。

                  

持分会社の社員には、自分の出資の範囲で責任を負う有限責任社員と、自分の出資額にかかわらず会社の借金すべてに責任を負う無限責任社員とがある。

そして持分会社には以下の3種類がある。

⒈ 合名会社・・無限責任社員のみで構成される。

⒉ 合資会社・・無限責任社員有限責任社員の両方より構成される。

⒊ 合同会社・・有限責任社員のみで構成される。

今は商売を辞めてしまわれたが、私の合資会社の荷主さんは無限責任社員と有限責任社員がいたわけだ。

               

合名会社と合資会社は、いざというときは出資者のうち無限責任社員が借金を肩代わりすることになるので、株式会社より設立にあたっての規制が少ないというメリットがあるという。

それでも合同会社ならともかく、私は無限責任社員となって合名や合資会社をつくりたいとは思わない。大半の人は私に同意してくれるだろう。

             

最新のデータが見つからなかったので、国税庁の平成27年度分の調査によれば、

合名会社・・・3,876社

合資会社・・・18,349社

合同会社・・・49,807社

合名会社、合資会社が意外と多いのが驚きだが、昔から存続している会社だと思われる。

作成者: advance

豊洲市場の水産荷受会社(セリ販売する会社)に勤務してます。
勤務時間が夜中から昼までです。
夜の活動は自粛?して、午後の早い時間帯に勉強に励み、税理士試験に合格しました。

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