私が税法の3科目目に選択したのは住民税である。
その前段階で消費税法と所得税法に科目合格できていたが、この2つで5年もかかってしまい、特に所得税法については仕事以外は勉強づくしの日々を過ごしたにもかかわらず、非常に苦戦を強いられた。
心身ともにヘロヘロになっていたと言ってよい。
所得税法は4名の講師先生の授業を受講したことがあるが、そのうちの1人が住民税は所得税法合格レベルの知識があれば楽勝だと話していたことを思い出した。
気持ちにゆとりを持って楽しく勉強したい・・
私の心は決まったのである。
住民税は、個人住民税と法人住民税とがある。
このうち法人住民税は、読んで字のごとく法人が払う税金だが、次の2つから構成される。
法人税割・・法人税の計算で算出した法人税額を課税標準とする。
均等割(きんとうわり)・・資本金等の額に応じて区分し更に市町村内の従業員数で分かれる。赤字でも払わないといけない。最低でも年7万円!最高で年380万円!
ここで、おや?と思う。
均等割の計算では、資本金ではなく資本金等の額となっているのだ。
資本金等の額って何だ?
今回は資本金等の額について観てみよう。
法人税法の理論マスターをみると、資本金等の額は、かなり細かく記述されている。
しかし簡単に表現してしまえば、会計上の資本金と資本準備金を足したもの、つまり出資してもらった金額相当額ということだ。
資本準備金とは、もしものために積み立てておくもので、出資金のうち2分の1までを準備金とできる。
じゃあ資本金は何かというと、商売を始める際の元手に相当する。
資本金と資本準備金に分けるのは、出資額のうち半分を商売に使って残り半分はいざという時のために留保しておくということになるわけだ。
資本金等の額は、株主からの出資額そのものを表すため、資本準備金の一部を資本金に組み入れたりする等、会社に対する出資額が変わらなければ資本金等の額も変わらない。
また会社が株主から自社株を買い取った場合は、出資額そのものの減少に相当するため、資本金等の額も減少する。(会計上は自己株式として表示)
こんなことをやる理由とは何なんだろう?
法人税はその年度の所得に対して課税されるが、その所得は損益取引から生じたものである。
損益取引とは、株主からの出資金を元手にして商売して生み出された、売上や売上原価、販売費・一般管理費を増減させる取引のことである。
これに対する単語は資本取引というが、これは出資者である株主との取引で、資本金などが増減する取引のことである。
この両者を明確に区分して税額計算するために、資本金等の額という概念を設定しているものと思われる。
つまり資本取引に該当するもの、資本金等の額の増減に関しては法人税は課税されない、ということなのである。
ところで資本金等の額の増減には課税されないと述べたが、資本金等の額を基準にして税金を課すものがいくつかある。
資本金等の額が大きいということは、単純にお金がたくさんあることを意味している。逆に小さいのはお金が潤沢ではないといって差し支えないだろう。
住民税でいう法人住民税均等割がその代表格だ。
この資本金等の額は法人事業税でも登場してくる。
資本金等の額が1億円を超えると法人事業税資本割という税金が課税されてしまうのだ。
計算式は、資本金等の額×0.2%=資本割額となっている。
仮に2億円なら年40万円というところである。
住民税も事業税も、事業を行う上でその地域の公共サービスを受けているのだから、そのための負担をしてもらうというのが趣旨だ。
よくいえばお金に余裕のあるとこは多く負担してもらい、悪くいえば金のあるとこから巻き上げるってとこかな。