会社員をやっていると税金は源泉徴収される、会社が申告・納付を代行してくれるため、普段は納税しているという意識が希薄になりがちである。
ただし徴収する側、税務署にとっては月々に確実に税金を手に入れることができる無駄のない合理的なシステムといえる。
実際、国家の歳入では所得税収が一番多いわけだが(20兆円近い額のうち約85%が源泉徴収分!)、こんなに便利なシステムを会社員の給料以外に適用しないはずはないといえる。
今回は源泉徴収の適用される報酬や料金について観てみよう。
源泉徴収が必要な報酬・料金を挙げてみると・・・
作家・漫画家・コンサルタントなどに対する原稿料・講演料など
弁護士・税理士・司法書士などの資格を持つ個人で勝負する人への報酬
開業医が社会保険診療報酬支払基金より受け取る診療報酬
馬主に支払う競馬の賞金
プロ野球選手、プロサッカー選手などに支払う報酬・料金
プロ野球選手などに支払われる契約金
芸能人などのテレビ、映画、演劇などの出演料
ホテルなどの宴会におけるコンパニオンに対する報酬・料金
クラブ・キャバクラのホステスなどに支払う報酬
広告宣伝のための賞金(素人のクイズ番組や歌番組の賞金)、懸賞クイズの賞金など
細かくみていけば、さらに多岐にわたる。
源泉徴収額はだいたい支払額の10%で、ある金額を超えてくるとその超える部分は20%になるのが通常のパターンだ。
払い過ぎだとか、もっと経費がかかっているんだとかいう場合は、確定申告が必須である。
上記をながめて気になるのが、弁護士や税理士に対する報酬のところだ。
確定申告する能力がある(特に税理士!)のに、わざわざ源泉徴収する必要があるのだろうか?
私の推測では税務当局は納税者を性悪説でとらえているのではないか。
つまり、なまじ法律の知識が豊富なため、巧妙に課税逃れをしてくるんじゃないかと疑っているのである。
源泉徴収制度は税金の徴収技術としてはとても優れている。
世界で最初に所得税の源泉徴収制度を導入したのは戦前のナチスドイツだと言われている。
日本も当時の同盟国だったドイツにならって、戦時中の1940年4月1日より給与への源泉徴収が始まり、紆余曲折を経て現在に至っている。
月々の給与からは、源泉徴収税だけでなく社会保険料も天引きされている。
これが税金と社会保険への無関心、そして政治への無関心の遠因になっているのは間違いないだろう。