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その他の税金

~揮発油税(きはつゆぜい)~

税理士試験の試験科目は、必修の簿記論・財務諸表論、選択必修の法人税法・所得税法、選択科目の消費税法・相続税法・酒税法・国税徴収法・住民税・事業税・固定資産税となっている。

国税庁の令和元年度の一般会計歳入額の内訳を見てみると、1位が所得税(19兆9,340億円)、2位が消費税(19兆3,920億円)、3位が法人税(12兆8,580億円)、そして4位が揮発油税(2兆3,030億円)と税法科目に無い税金が登場する!

それ以降は5位は相続税(2兆2,320億円)、6位は酒税(1兆2,710億円)と税法科目が続く。

今回は試験勉強だけやっていると意識すらしない揮発油税について考えたい。

                

揮発油税とは、ガソリン税のことで、現在は1リットル当たり53.8円の税金が課せられいる。

53.8円はもう少し正確にいうと揮発油税46.6円と地方揮発油税5.2円の合算である。地方揮発油税は地方自治体に財源を譲与することを目的としている国税である。

                      

ここで原油と石油について確認しておくと、原油は地中から採取した未精製な状態のことで、そのままでは使用不可能である。石油は原油から不純物を取り除いたガソリンや軽油などの総称である。

                    

中東などから原油を輸入すると、製油所の加熱炉で約350℃に加熱されて、石油蒸気となり蒸留塔に送られる。塔内で石油蒸気を沸点の低いものから順に分けていく。沸点の低い順に、LPG(液化石油ガス)・ナフサ・ガソリン・灯油・軽油などに分けられていく。同一工程から同一原材料により必然的に生産され、それぞれ経済価値に差をつけ難い異種製品を連産品というが、これらはまさに連産品である。

ガソリンは常温では揮発性が高いため揮発油とも呼ばれ、他の軽油や灯油などと区別するためにオレンジ色に着色されている。

             

揮発油税を税務署に納付するのは石油会社である。製油所でガソリンを移出した数量を課税標準として、移出した月の翌月末日までに税務署に納付しないといけない。

また、ガソリンそのものを輸入した場合は、その輸入者が保税地域からガソリンを引き取り時に納付しないといけない。

揮発油税の納税義務者は石油会社ということになる。

               

私はペーパードライバーなので、長いことガソリンスタンドには行ってないが、購入の際に意識するのは消費税だけだと思う。

実は石油製品各種には様々な税金が課せられているが、話が複雑になってくるので今回は割愛する。石油関係の税金、すなわち石油諸税合計で約5兆円にもなる!  が、一般人にはどれも意識しにくい。

            

揮発油税にしぼって分析すると、

(ガソリン本体価格+揮発油税)がガソリン価格なのは明確だろう。価格に税金分を上乗せしないと石油会社が大変である。

そしてここで消費税だ。

(ガソリン本体価格+揮発油税)×消費税率10%

が消費税がということになっている。消費税にとって揮発油税自体も課税標準になっている。

これを TAX ON TAX といって税金に対してさらに税金を課すというやつである。

日本は石油資源は自前で用意できないし、石油不足が太平洋戦争の遠因にもなっているから、また環境問題の観点からも、ムダ使いを無くすために税金で制御するという考え方なのかもしれない。

ただし、仮に日本近海で海底油田が開発されて、輸入に頼らなくてもよくなったとしても、石油関係の税金はほとんど無くならないような気がしている・・・・(汗)

                   

作成者: advance

豊洲市場の水産荷受会社(セリ販売する会社)に勤務してます。
勤務時間が夜中から昼までです。
夜の活動は自粛?して、午後の早い時間帯に勉強に励み、税理士試験に合格しました。

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