東京都の中央卸売市場は一昨年の10月に築地から豊洲に移転した。やはり設備は築地とは比較にならないくらい良くなり、働きやすくなったといえる。
ただ場所が陸の孤島のようなところにあり、気軽には行きづらいのだろう。市場で買い出しする業者もわざわざ来る人は減り、FAX等による注文だけですます傾向にあるようだ。
買い出しの業者のなかには、会社組織ではなく個人で商売している人も多いと思われる。今回はそういう個人事業者の商売する上での税金関係について考えたい。
所得税は個人に課せられる税金であるが、私のような会社員は給与所得に対し課せられる。会社組織に所属せず自分で商売する人には事業所得に対して課せられるのである。
事業所得は、総収入金額-必要経費の差額であり、場合によりここから青色申告特別控除額が差し引かれる。
仮に私が築地界隈のサカナ屋を個人で営んでいたとしたら、上記の総収入金額とは普通にサカナの売上金額ということになる。
ここで私が市場で見つけた極上のサカナを、販売するのをやめて自分で食べてしまった場合はどうなるか。
実はこれも本来お客さんに販売できたであろう価格で上記の総収入金額に算入しないといけないのである。役得にはさせないぞと所得税法は言う(汗)
サカナのような売るための資産を棚卸資産という。人が事業活動するのは儲けるためである。その儲けるための、利益を追求するための棚卸資産を、自分で消費して総収入金額から除くのは(損失にしてしまうのは)、事業活動としてあるまじき行為なのだと所得税法は考えたようだ。(税金逃れは許さんとも換言できそうだ)
自分の労働力や所有資産から生じた消費を所得ととらえる考え方を帰属所得という。
要するに、収入がないと消費はできないのだから、消費ができる以上収入があるものとする、ということだ。人はお金などの経済的な利得を新たに得たとき、とるべき行動は消費or貯蓄の二択である。消費できるのは経済的利得があったからだと解釈するのである。
ただし帰属所得は原則的には非課税であり、事業活動に伴うものなら課税の対象になっている。