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法人税

~法人税法~法人擬制説

税理士試験受験において、私は法人税法を選択しなかった。税法は、消費・所得・住民と合格しているが、消費と所得で合わせて合格まで5年もかかってしまい、さらにボリュームのある税法科目にチャレンジする根性が湧いてこなかったのだ。もう少し若ければ、法人か相続に取り組んだとは思う。受験は意外と想像以上に体力・気力を消耗する。

官報合格し、専門学校と青年税理士連盟の合格祝賀会に参加したあと、市販の税法の本を読むようになった。大学の先生が書いた本をメインに読んでいるが、法人税法の場合、冒頭で法人とは何かと解説している。

法人とは、法が作ったフィクションで実体の無い架空の存在であると説明されている。これを法人擬制説という。

                

                        

法人は実体が無いが故に喜怒哀楽は当然無い。例えば大儲けして巨額の利益を得ても、喜ぶのは法人ではなくその法人の経営者や株主だし、大損して悲しむのはやはり法人ではなく経営者や株主だ。また法人は死(倒産)の苦しみも感じない。現実に苦しむのは株主や債権者だろう。

                       

法人は自分では意思決定できないから、別人格である経営者が法人の意思決定をするわけだが、自分達の給料を調整して法人の利益(所得)を減らして税金負担を軽減しようとする動機が生まれる。

このために役員給与や使用人給与の損金算入(費用計上)を制限する規定が法人税法にはある。給与の支払で所得調整させないぞということだ。

               

法人はフィクションの存在ではあるが、より大きな利益を求めていくという性質がある。そして法人税が課せられるとき、それが利益の最大化に障害となるわけだから、それを他に転嫁しようとするのである。

まずは、株主への配当金を減らして内部留保を増やそうとするかもしれない。

また商品やサービスの価格を上げて利益を増やそうとするかもしれない。

仕入先へ値下げ圧力をかけたり、社員の給料を減らそうとするかもしれない。

上記のなかで、日本企業が一番簡単にできそうなのが従業員の給料削減ではないかと思われる。というのは、日本は雇用の流動性低いと考えられるからだ。簡単には転職できないのだから、少々の給与減額でも受け入れざるを得ないだろう。

             

選挙のとき消費税を減税して法人税を上げるという主張があったと思うが、これは非常に危険かもしれない。最終的に苦しむのは労働者になる可能性があるからだ。

反対に法人税を減税して、その分を従業員の給与にまわして給与所得を上げて所得税による税収を増やす方が、個人的には国家の歳入は増えるような気がしている。

                   

                    

作成者: advance

豊洲市場の水産荷受会社(セリ販売する会社)に勤務してます。
勤務時間が夜中から昼までです。
夜の活動は自粛?して、午後の早い時間帯に勉強に励み、税理士試験に合格しました。

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