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工業簿記

~工業簿記~連産品の原価計算

私が税理士試験に挑戦したのは、日商簿記1級と全経簿記上級に合格した後である。税理士試験の受験資格は細かくいろいろあるが、私は簿記1級合格証明書を添付して出願した。

簿記1級では商業簿記・会計学と工業簿記・原価計算の二つの分野があるが、前者と後者で4:6の割合で勉強をした。それだけ工業簿記・原価計算に力を入れたのである。

                      

                       

工業簿記・原価計算のなかに連産品の原価計算というテーマがある。

具体的には、連産品とは、同一の工程で同一の原材料から必然的に生産され、相互に経済価値が高くメインとサブの区別がつけがたい異種製品である。と説明されている

テキストではその例として、原油から生産される重油・軽油・灯油・ガソリン・ナフサなどをあげている。

私は中央卸売市場(この当時は築地)の水産荷受会社で仕事しているが、ズワイガニや紅ズワイガニの加工品の販売を担当している。

具体的には、脚の部分の棒肉・型の崩れた棒肉である棒くずれ・ツメ部分のツメ肉・ツメの腕の部分のツメ下棒肉・胴体と脚の付け根の部分の精肉・胴体の中にあるカニミソ・カニの甲羅だけの部分(容器に使う)など複数の商品が、一匹のズワイガニ・紅ズワイガニから作られる。

簿記の授業で連産品の回のとき、私は自分の販売している商材を真っ先に思い出したものだ。

                       

連産品はの原価はまず、各連産品が分離する前の共通原価である連結原価を直接材料費・加工費より把握する。カニでいうなら、冷凍カニの原価と解体・選別費用といったとこだ。

分離後は、上記で算出した連結原価をある一定の基準で按分(配賦)し、それぞれに追加加工費用が発生するなら個別に加算して、それぞれの製造原価を計算する。カニだと殻むき・計量・袋詰めなどの作業費用が追加加工費といったとこだろう。

               

        

連結原価の各商品への按分(配賦)計算には2つのやり方がある。連産品の産出量(カニの場合は目方かな)を基準にする生産量基準法と、各商品の市場価格に基づいて高く売れる商品にはより原価を多く負担をもとめる正常市価基準法である。

カニ加工品の市価は、棒肉>ツメ肉>カニミソ>ツメ下棒肉>棒くずれ>精肉>甲羅なのだが、上記のいずれ方法でも正確に連結原価を配賦できないと思う。

結局のところ、この配賦は正確な製造原価算出を目的としているのではなく、個々の商品の個別の利益と、在庫になった場合の個々の評価額を出すため、すなわち損益計算書と貸借対照表の表示のために行っているのである。

                 

連産品の問題は専門学校の答練ではほとんど出題が無かったと記憶しているが、出たら自分の仕事にも関連が深い分、意地でも正解してやろうと意気込んだものだ!

作成者: advance

豊洲市場の水産荷受会社(セリ販売する会社)に勤務してます。
勤務時間が夜中から昼までです。
夜の活動は自粛?して、午後の早い時間帯に勉強に励み、税理士試験に合格しました。

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