私は豊洲市場の水産荷受会社で仕事している。
豊洲市場に移転する前は築地市場で働いていた。
築地市場には、夜中にもかかわらず大勢の外国人観光客が訪れていた。
2002年のサッカーワールドカップ時には、明らかに酒を飲んだ後と思しき外人がたくさん来てて、とても困惑したものだった。

今回は外国人観光客に関係する税金、国際観光旅客税について観てみよう。
国際観光旅客税の概要
ここ数年、訪日観光客は増加の一途をたどっている。
テレビ東京の「YOUは何しに日本へ」のような、来日外国人を密着取材する番組も大ヒットしているように、街中で外国人を見かけることは珍しくなくなった。
コロナウイルスの流行で、海外からの旅行客は激減はしているが、これが終息すれば再び大勢の外国人が日本を訪れに来るだろう。
国際観光旅客税は、訪日外国人観光客が日本で快適に過ごせるような環境を整備するための財源にするために、平成30年度の税制改正で導入された新しい税金である。
税率は出国1回につき1,000円であり、納税者は航空機または船舶により出国する旅客とはなっているが、実際には国際運送事業を営む者(JALやANAなど)が特別徴収の形(旅券代金に上乗せされる)で徴収し、翌々月末日までに税務署に納付することとされる国税である。(国外事業者の場合は税関に納付する)
また、プライベートジェットや個人所有船舶による出国の場合は、旅客自らが税関に納付する。
国際観光旅客税が課されない場合もある。
以下に掲げる者は非課税等とされる。
・船舶または航空機の乗員
・強制退去者など
・公用船または公用機(政府専用機など)
・乗継旅客(入国後24時間以内に出国する者。いわゆるトランジット。)
・外国間を航行中に、天候その他の理由により日本に緊急着陸等した者
・日本から出国したけど、天候その他の理由により日本に帰ってきた者
・2歳未満の者
また、日本に派遣された外交官等の一定の出国は免税とされる。

インバウンドとは
一昨年の10月に、消費税が10%に増税された。
消費増税すれば、必ず国内消費は落ち込み景気は悪くなると明白なのに、なぜ増税に踏み切ったのか。
消費増税の行われた2019年より前、2013年頃からインバウンドが急激に増大し、それに伴うインバウンド消費も大きく伸びて個人消費の下支えをした。
消費増税により日本人の消費が落ち込んでも、インバウンド消費があるから問題ないと政府が考えたのは、当たらずといえども遠からずだと思う。
ここで、コロナウィルスが発生する以前、頻繁に耳にしたインバウンドとは何かを確認しておく。
インバウンド(inbound)とは、外国人が訪れてくる旅行のことであり、日本へのインバウンドは訪日外国人旅行を意味する。
そしてインバウンド消費とは、訪日外国人観光客による日本国内での消費活動を指す。
政府が消費増税時に当てにした?インバウンド消費の東日本大震災以降の数値を見てみると・・・・
インバウンド消費額 | 訪日外国人数 | |
2012年 | 1兆846憶円 | 622万人 |
2013年 | 1兆4,167億円 | 1,036万人 |
2014年 | 2兆278億円 | 1,341万人 |
2015年 | 3兆4,771億円 | 1,974万人 |
2016年 | 3兆7,476億円 | 2,404万人 |
2017年 | 4兆4,161億円 | 2,869万人 |
2018年 | 4兆5,064億円 | 3,119万人 |
2019年 | 4兆8,113億円 | 3,188万人 |
2020年11月まで | 405万人(推計) |
2020年のデータが見つからなかったが、インバウンド消費額はある程度推測できるだろう。前年比で2割くらいではないだろうか。
東京オリンピック開催による2020年のインバウンド消費の大きな伸びを期待した政府としては、コロナウィルスは大きな誤算でありアクシデントだったろう。
後記
コロナウィルスは、東京オリンピックの延期だけにとどまらず、社会の在り方そのものを大きく変えようとしている。
しかし、ピンチはチャンスという格言もある。
この危機をきっかけにして、日本が、そして私自身も良い方向に進めればいいなと思っている。