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税効果会計

~税効果会計その2~ 法定実効税率の計算式

税効果会計の計算において、法定実効税率を使用して繰延税金資産または繰延税金負債の数値を求める。

受験時代は、税率そのものが問題で与えられるため、深く考えることがなかったが、ここで改めて法定実効税率の仕組みを考えたい。

法定実効税率の公式は・・・・

法定実効税率=【法人税率×(1+住民税率)+事業税率】÷(1+事業税率)

という具合ではある。

                          

            

損益計算書で表現される税金は、販売費・一般管理費に計上される租税公課と税引後当期純利益を算出する法人税等とがある。

                                            

まず、租税公課は利益に関係なく税務署に支払う税金で、固定資産税、事業所税、不動産取得税などがある。

法人税等は、厳密には法人税・法人住民税及び法人事業税という内訳になっている。さらに、法人住民税は法人税割と均等割とがあり、法人事業税は所得割、資本割、付加価値割とがある。法人事業税のうち資本割と付加価値割は利益(所得)に関係なく課税されるので、租税公課に計上される。

税引後当期純利益を算出する法人税等は、法人税・法人住民税法人税割・法人住民税均等割・法人事業税所得割で構成されるのだ。

その法人税等に税効果会計の法人税等調整額を加減算した額は、形式的には、税引前当期純利益に法定実効税率を乗じた値ということになっている。

法定実効税率は、なぜこんなに複雑な計算式なのか。受験当時は計算式を見ても簡単には覚えられなかったものだ。

その秘密は法人住民税法人税割と事業税にある。

              

住民税法人税割は法人税額を課税標準としてそれに税率を乗じて算出し、事業税は法人税額の計算で申告する年度に損金算入(費用計上)できるところに特徴がある。この特徴ゆえに、法定実効税率は単純に三つの税金の税率を足し算したものではなくなってしまうのだ。

具体的に計算してみよう。

所得×法定実効税率
=法人税額+法人住民税額+法人事業税額

法人税額=課税所得×法人税率=(所得−法人事業税)×法人税率
法人住民税額=法人税額×住民税率={(所得−法人事業税)×法人税率}×住民税率
法人事業税額=課税所得×事業税率=(所得−法人事業税)×事業税率

一番上の式に下の三つの式を代入すると、例の法定実効税率の計算式が完成するわけだ。

ここで法人事業税額の計算式に法人事業税が入ってて混乱するが、これは前年度の事業税である。

法人開業年度は、法人税額計算において、事業税を中間申告してれば、法人税額計算で損金算入(費用計上)されるが、年度末の確定申告分の事業税は翌期の法人税額計算に使用される。また法人税中間申告についてはその中間期間で事業税を申告してないので損金算入(費用計上)されない。

法定実効税率の計算式の事業税は当期と前期の分が混在している!

作成者: advance

豊洲市場の水産荷受会社(セリ販売する会社)に勤務してます。
勤務時間が夜中から昼までです。
夜の活動は自粛?して、午後の早い時間帯に勉強に励み、税理士試験に合格しました。

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