私は現在10月に行われる応用情報技術者試験に向けて勉強を進めている。
税理士受験時代のようにバリバリ勉強するわけではなく、マイペースで気楽にやっている。
合格できたら嬉しいが、是が非でも10月に合格しなきゃいけない訳ではないので、このお気楽な感じでいいと思っている。(ただし不合格すると悔しい〜と感じるかもしれない)
午後は情報セキュリティを除いて選択制だが、データベース、経営戦略、プロジェクトマネジメント、サービスマネジメント、システム監査から4題を選ぶつもりだ。
税法・会計には直接は関係ないけど、知ってたら役に立つと思っている。
今回はプロジェクトマネジメントについて観てみたい。
プロジェクトとは何か
プロジェクトとは、日常的に行われる日常業務(ルーティンワーク)とは異なり、有期性(明確な開始時点と終結時点がある)があり、独自性(目標、予算、日程、制約事項などは他のプロジェクトとは異なる。オンリーワンである)があるのが最大の特徴だ。
こうした特徴をもつプロジェクトを有効に機能させて、目的を達成させるべく、資源(人、モノ、金)、品質、時間といった要求事項の管理・最適化を図ることをプロジェクトマネジメントという。
プロジェクトマネジメント特有の用語
プロジェクトマネジメントにおいて、これ特有の用語が登場してくる。
以下に挙げるのがその代表格である。
#プロジェクトスポンサ
プロジェクトに対して資源を提供する個人または組織
#ベースライン
プロジェクトの状況を判断するために基準となる値。コストやスケジュールなどで適用される。
#所産
プロジェクトを実行して得られるアウトプット。成果や文書などが相当。
#プロダクト
生産され、それ自身が最終生産物となる人工品。
#成果物
プロジェクトによって生成されるプロダクト、所産、サービス提供能力。
#「スコープ」
プロジェクトが提供するプロダクト、サービス、所産を総合する概念。
上記のうち、ぱっと見で「スコープ」が一番分かりづらいが、要するに「範囲」のことで、プロジェクトの内容の範囲を意味すると考えてよい。
プロジェクト統合マネジメント
プロジェクトに関わる顧客、スポンサー、ユーザ、プロジェクトリーダ、メンバーといったステークホルダ(利害関係者)からの要求を調整し、プロジェクトを成功裏に終結させることをいう。
プロジェクト統合マネジメントの立ち上げでプロジェクト憲章が作成される。
これは、プロジェクトを認知・承認するために、要求事項、プロジェクトの目的、全体スケジュール、任命されたプロジェクトマネージャーなど記述した文書である。
プロジェクトマネージャは、プロジェクトを実行、監視、コントロールするための方法を記したプロジェクトマネジメント計画書を作成し、プロジェクトの運営を行う。
プロジェクトを実行して、実績値とベースラインとを比較した結果、必要に応じて変更要求が提示される場合がある。
変更管理もプロジェクト統合マネジメントの一部だ。
プロジェクトスコープマネジメント
簡単に言えば、作業範囲を管理することである。
スコープはソフトウェアやテストデータなどの成果物であるプロダクトスコープと、コストやスケジュール、品質といったプロジェクトスコープに分けられる。
プロジェクトスコープマネジメントにおいて、WBS(作業分解図:Work Breakdown Structure)を作成して、プロジェクトに必要な作業を洗い出す。
WBSの詳細化において、将来実施予定の作業については、上位レベルのWBSにとどめておき、詳細が明確になってから、要素分解して詳細なWBSを作成する場合がある。
これをローリングウエーブ計画法という。
プロジェクトタイムマネジメント
スケジュール管理のことである。
プロジェクトスコープマネジメントで規定されたプロジェクトのスコープを所定の期日までに達成できるよう管理することだ。
WBSで洗い出した作業(アクティビティ)に基づいてスケジュールを作成する。
作業(アクティビティ)とは、コントロール可能な作業単位のことである。
ひとかたまりの作業として比較的容易に管理が行えることを意味している。
要因や日程の計画では、仕事の量を表すために人日(にんにち)や人月(にんげつ)などの単位がよく用いられる。
これらは、
単位時間当たりに投入する人数×作業時間
で得られる値である。
1人日=1人が1日でできる作業量
10人月=1人が10ヶ月でできる作業量
を意味することになる。
10人月の作業は、
1人を投入した場合・・10/1=10ヶ月で完了できる。
2人を投入した場合・・10/2=5ヶ月で完了できる。
5人を投入した場合・・10/5=2ヶ月で完了できる。
以上のように所要期間の予測ができる。
ただし予定通りに作業が進まない場合もあるだろう。
例えば5人で2ヶ月間作業を行ったが、5人月の作業量しか完了しなかった、といった場合だ。
この場合は、
実際の作業量/予定してた作業量
で作業効率を求め、
(単位時間当たりに投入する人数×作業効率)×作業時間
のように作業量を求めないといけない。
さっきの例で作業効率を求めると、
5/10=0.5
となり、この作業効率を用いて10人月の作業について考えると
1人投入した場合・・10/(1×0.5)=20ヶ月で完了できる。
2人投入した場合・・10/(2×0.5)=10ヶ月で完了できる。
5人投入した場合・・10/(5×0.5)=4ヶ月で完了できる。
のように求められる。
プロジェクトの管理のおいて、そのプロジェクトがいつ終わるのか、どの作業が工期に影響するのか、すなわち作業の順序関係を知るのは非常に重要である。
作業の順序関係を表現するための技法には、プレシデンスダイアグラムやアローダイアグラムがある。
・プレシデンスダイアグラム
プレシデンスダイアグラムとは、四角形のノードが個々のアクティビティ(作業)を表し、矢印がそれらの順序関係を表す技法である。
プレシデンスダイアグラムでは、次の4種類の順序関係(依存関係)を表現できる。
*FS関係(終了ー開始関係)が最も多く用いられる。
*FS関係・・先行アクティビティが完了しないと、後続アクティビティを開始できない。終了ー開始関係
*FF関係・・先行アクティビティが完了しないと、後続アクティビティを完了させることができない。終了ー終了関係
*SS関係・・先行アクティビティが開始するまで、後続アクティビティを開始できない。開始ー開始関係
*SF関係・・先行アクティビティが開始しないと、後続アクティビティを完了させることができない。開始ー終了関係
Sはスタート、Fはフィニッシュを示す。
・アローダイアグラム
矢印がアクティビティ(作業)を表し、円で表現された結合点がアクティビティの開始や終了を表す。
PERT図ともいう。(Program Evaluation and Review Technique)
アクティビティの順序関係を表すために、破線の矢印で表現するダミー作業が用いられることもある。
このアローダイアグラムでは、結合点3と4を結ぶダミー作業が、結合点3で終了する作業(4)と結合点4で開始する作業(5)と(10)の依存関係を示している。
太い線はクリテイカルパスといい、作業日数に余裕のないアクティビティをプロジェクトの開始から終了まで繋いだ経路を表している。
クリテイカルパス上のアクティビティのの遅れは、プロジェクト全体の遅れに繋がるため、重点的に管理しないといけない。
結合点1はプロジェクトの開始を、結合点6はプロジェクトの完了を表す。
結合点2ではアクティビティ(5)が終了すればアクティビティ(6)を開始できることを示す。
ダミー作業のある結合点4はアクティビティ(6)と(5)と(4)が終了すれば、アクティビティ(10)と(5)を開始できることを示している。
矢印の数字は日数を示すが作業名扱いもした。
結合点にある最早結合点と最遅結合点とは何か。
最早結合点は、次の作業を開始できる最も早い日である。
最遅結合点は、プロジェクト全体に影響させずに最も作業を遅らせることができる日である。
最早結合点は、プロジェクト開始から完了に向けて計算する。各結合点で一番大きな終了日数を選択する。
結合点4であれば11となる。
最遅結合点は逆算していく。
プロジェクトの完了から開始へ向けて計算する。
結合点3であれば、24ー10、24ー(8+5+0)、24ー(8+4)のうち一番小さい数値の11となるわけだ。
太線がクリテイカルパスだが、見ての通り最早結合点と最遅結合点が一致する箇所を結んでいることがわかる。
クリティカルパスを言葉で表現すると、開始時点の最早結合点時刻+所要日数=終了時点の最遅結合点時刻という条件を満たすアクティビティをプロジェクト開始から終了まで繋いだもの、ということになる。
プロジェクトステークホルダマネジメント
プロジェクトにおける利害関係者の管理のことである。
ステークホルダとは、プロジェクトに関与し影響を受ける利害関係者を指す言葉である。
その対象は広く、社内外の顧客、トップマネジメント、スポンサー(資金や資材等の提供者)、プロジェクトのメンバー、プロジェクトのメンバーが所属してた部署などである。
プロジェクトを成功させるためには、ステークホルダの要望と現況の違いから生ずる意見の対立や、要員のスキル不足、予算面での食い違いなど、さまざまな課題が生じる。
その課題を洗い出して、その課題がどのステークホルダのニーズから生じるものかを特定する。
課題が識別できれば、解決方法と責任者、解決予定日などを定めて解決に取り組んでいくのである。
終わりに
情報処理試験の意図するプロジェクトは業務用システムの開発のことだと思うが、プロジェクト自体はいろんなことに当てはまるはずだ。
今回はプロジェクトマネジメントの範囲の半分を概観してみたが、次回はその残り半分を観てみたい。
それでプロジェクトマネジメントの全貌が把握できるだろう。