所得税は税金を納めないといけない人「納税義務者」を居住者と非居住者に分けている。
居住者はさらに非永住者と非永住者以外の居住者に区分されている。
実は株式会社などの法人も所得税を納付しないといけない場合がある。
それは配当金などを受け取った場合だ。
法人は内国法人と外国法人に区分される。
* 居住者
居住者というのは次のいずれかの個人である。
・国内に「住所」を有する者
・現在までに引き続いて1年以上「居所」を有する者
「住所」とは個人の生活の本拠をいう。
住所不定でも、1年以上日本に居住しないと遂行できない職業に就いていると、「住所」を有する者と推定される。
ネットカフェで寝泊まりしてても、就職してたら「住所」を有する者になるのかもしれない。
「居所」とは、生活の本拠じゃないけど、実際に住んでる場所をいう。
ホテルとか別荘なんかが該当する。
| 非永住者以外の居住者 |
日本人の大半がこれに該当する。
①国内に住所または1年以上居所を有してて、日本国籍であること
②外国籍だけどに、過去10年間のうち5年超の期間に日本国内に住所または居所を有する者
かつてサッカー日本代表監督だったザッケローニさんは、4年契約でイタリアに帰ったので2番目には該当しない。
| 非永住者 |
簡単にいうと、来日して5年以下の外国人だ。
次の2要件を満たせば該当する。
①日本国籍をもっていない
②過去10年間のうち、5年以下の期間に日本国内に住所か居所を有する者
非永住者以外の居住者も非永住者も、居住者の1区分であり、まずは居住者になる条件を満たさないといけないことを忘れてはならない。
* 非居住者
非居住者とは居住者以外の個人をいう。
日本国内に住所かつ居所を有していないか、居所があっても1年未満のときはこれに該当する。
会社で海外赴任して国内に住所も居所も無くなると、日本人でも非居住者になる。
居住者であることの最初の条件が、国内に住所があるかまたは連続して1年以上居所を有してることで、日本国籍は2番目の条件なのに注意が必要である。
プロサッカー選手が海外移籍すると、基本的には非居住者になると思う。
* それぞれの税金
| 居住者 |
非永住者以外の居住者については、いつも通りの課税方法である。
国内源泉所得と国外源泉所得の両方が課税の対象だが、国外については外国で課された税金を税額から直接控除できる外国税額控除を受けることができる。
非永住者については、国内源泉所得と国外源泉所得のうち、国内において支払われたものと国外から送金されたものが該当する。
国外源泉所得のうち、
「国内において支払われたもの」というのは、非永住者がもってる外国株式の配当金が日本国内の金融機関の口座に振り込まれた場合などである。
「国外から送金されたもの」というのは、外国株式の配当金が外国の金融機関に振り込まれたが、それを日本国内の金融機関の口座に送金させた場合などである。
外国税額控除は当然受けられる。
税務当局としては、日本にお金が入ったら見逃さないってとこかな。
| 非居住者 |
さて、非居住者が少し複雑である。
日本国内に恒久的施設があるか否かによって変わってくる。
国内法の規定だと、「支店や工場とか事業を行う場所」なのだが、日本は多くの国と「租税条約」なるものを結んでいる。
それぞれの国との「租税条約」が国内法の規定と異なるとき、「租税条約」の恒久的施設に関する規定が優先される!
恒久的施設を有していると、そこに帰せられる所得は国内源泉所得として扱われ、通常のいつも通りの課税となる。
海外に恒久的施設をもつのはデメリットの方が大きいので、駐在員事務所(恒久的施設に該当しない)か海外現地法人を設立する傾向にある。
恒久的施設が無い場合、又はあってもそれとは無関係な所得である場合は、源泉徴収のみで課税関係が完結する、「源泉分離課税方式」が基本である。
例を挙げると・・・・
海外有名歌手が日本でコンサートして得た報酬(20.315%の源泉徴収)
日本の上場株式から得られる配当金(15.315%の源泉徴収。住民税は当然課税されない)
日本国内にある土地や建物の譲渡対価。儲けの有無は関係ない。(10.21%の源泉徴収。保有期間の区別なし)
今はコロナウィルスの影響で国内外の移動は厳しく制限されている。
治療方法がある程度確立されてきたら、また人の往来も活発になると思われる。
オフィス街を闊歩する外国人や、オフィスビルの案内表を観察して、非永住者なのかなとか恒久的施設なのかなとか想像をめぐらすのは面白いかもしれない。