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所得税

~所得税法~平均課税

コロナの影響で延期となっていたプロ野球が6月19日(金)に無観客で開幕するようである。

野球選手といえば、入団時にもらえる契約金が有名である。

高卒選手でも、日ハムの清宮選手クラスだと1億円支払われる!

18歳でこの大金を手にする者は、世界を見渡してもそう多くはないだろう。

清宮選手は、昨シーズンは怪我で不本意な成績だったが、今シーズンは「逆襲の清宮」で活躍してほしいと思う。

             

ところで、日本の所得税は税額計算に超過累進税率を採用している。

所得金額が大きければ大きいほど税負担が重くなる仕組みだ。

さきほどの1億円の契約金だと、ほとんどの部分で所得税の最高税率45%と住民税税率10%が適用されて、下手すると半分以上税金でもっていかれてしまう。

学生時代に怪物選手でも、プロで必ず成功するとは限らないし、怪我で早い引退に追い込まれてしまう可能性だってある。

引退後の保証は何も無い状態で、いくら普通の人が手にできない大金を得たからといって、通常の方法で課税してしまうのは酷であるといえる。

そこで「累進税率」を緩和するために作られた制度がある。

これを平均課税という。

平均課税を語るには、まず臨時所得変動所得についてみないといけない。

             

・臨時所得

プロ野球選手のもらう契約金を臨時所得という。

この場合だと、3年以上の期間特定の球団と専属契約を結ぶことにより一括払いされる契約金で、その金額が契約による年俸の2年分以上であれば、臨時所得に該当する。(たいていの選手が該当するのではないか)

臨時所得は「不動産所得」「事業所得」「雑所得」に該当するもので、数年分の収入が一括して支払われれる所得のことをいう。(野球選手だと事業所得だね)

例えば、3年間自分の不動産を他人に使用させることでまとめて受け取る賃貸料や、自分の店舗が公共工事のために休業せざるをえなくなった場合の補償金なども該当する。

臨時所得は所得税法に例示列挙されているだけの、ややグレーゾーン的な所得といえる。

臨時所得であるか否かは、「要税務署確認」といったとこである。

               

・変動所得

変動所得とは年々の変動が著しい所得をいう。

例えば、私が脱サラして著述業を営んだとしよう。

最初のうちは本がまったく売れず、清貧の生活を余儀なくされていたが、ある年の新刊がいきなりメガヒットで売れだして大金を手にすることができた。

いかし一発屋で終わり、翌年はいつもどおりの状態である。

こういう極端に所得変動があるものを変動所得というのである。

所得税法で変動所得は限定列挙されている。

限定列挙とは、挙げられている例に「限定される」ということである。

一体何が限定列挙されてるのかというと・・

*漁獲又はのりの採取から生じる所得

*はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝又は真珠(真珠貝を含む)の養殖から生ずる所得

*原稿又は作曲の報酬に係る所得

*著作権の使用料に係る所得(印税収入のこと)

上記の漁獲については少し注意が必要だ。

魚類や貝類などの水産動物を捕獲してそのまま販売したり、簡単な加工をして販売する場合が該当する。

したがって、こんぶ、わかめ等の水産植物の採取による所得は該当しない・・!

また養殖でも、えび、こい、ます等の養殖も該当しない・・!

はまちの養殖が可なら、「かんぱち」の養殖もよさそうな気はする。

しかし限定列挙なので、これは税務署に聞いてみないとわからない。


変動所得は、水産関係とクリエイティブ関係の二本立てなのが特徴である。

              

・平均課税の計算方法

| 平均課税が使えるか否かの判定

その年の変動所得の金額と臨時所得の金額の合計額が「総所得金額」の20%以上であること。

ここで「総所得金額」なるものが登場する。

中身は以下の所得の合計値である。

利子+配当+不動産+事業+給与+雑+総合短期譲渡+(総合長期+一時)×1/2

山林と退職が除かれているのが特徴だ。

              

| 平均課税対象金額

臨時所得の金額のすべてと、その年の変動所得の金額のうち前年と前々年の変動所得の平均額を超える部分の金額が対象となっている。

変動所得については過去2年間の平均より多く稼げた部分が対象ということである。(平均以下だと平均課税の対象から除かれる)

臨時は全部! 変動は過去平均超え!

                 

| 税額計算

平均課税対象金額のうち、1/5相当額は他の普通の所得と合わせて超過累進税率を適用し、残り4/5相当額平均税率を適用し税額計算する。

総所得金額から所得控除したあとの「課税総所得金額」から上記の4/5相当額を控除する。(課税総所得金額の方が小さい場合は、課税総所得金額に1/5を乗じた額)

これを調整所得金額というが、これに超過累進税率を適用して「通常の税額」を算出する。

次に「課税総所得金額」から調整所得金額を控除し特別所得金額をもとめる。

この特別所得金額こそが累進税率緩和の対象だ。

特別所得金額平均税率(「通常の税額」/調整所得金額)を乗じて「特別な税額」を算出するわけである。

「通常の税額」+「特別ま税額」が当期の税額だ。

              

簡単に表現すると、4/5相当額はおまけするよってとこかな。

              

・ まとめ

ここいらでまとめてみる。

*臨時所得・・例示列挙。大金を手に入れたらチャンスあるかも?

*変動所得・・限定列挙。水産とクリエイティブ。

*平均課税・・4/5は面倒みるぜ。

私は著作権使用料に係る所得で平均課税してみたい!

作成者: advance

豊洲市場の水産荷受会社(セリ販売する会社)に勤務してます。
勤務時間が夜中から昼までです。
夜の活動は自粛?して、午後の早い時間帯に勉強に励み、税理士試験に合格しました。

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